近年の厳しい暑熱環境は、ラグビーに関わるすべての人々の健康と安全に大きな影響を及ぼす可能性があります。厳しい暑さの中での活動は、競技レベルや個人の体調、暑さへの慣れ(順化状態)によって熱中症のリスクが著しく高まるため、一人ひとりが高い危機意識を持って対策を行うことが重要です。こうした背景から、日本ラグビーフットボール協会は、現場での迅速かつ適切な対応と安全な競技環境の確保を目指し、「コミュニティラグビーにおける試合・大会運営のための暑熱対応ガイドライン(Ver.1)」を策定しました。本ガイドラインは、コミュニティラグビーのすべての公式戦、大会、練習試合に適用されます。
以下に、運営や活動において特に留意してほしい重要ポイントを紹介します。詳細については、本ガイドラインの記載内容をご確認ください。
ガイドラインの重要ポイント
1. WBGT(湿球黒球温度)に基づく活動判断とリスク分類
試合の開催可否や運営変更は、当日のWBGT実測値(測定困難な場合は環境省等の予報値)を基準に判断します。
WBGT 31以上で例外的に実施を検討できる3条件
以下の条件をすべて満たしている場合に限り、主催者・主管協会の責任者判断で実施を検討できることとします。
① 医療体制:医師や看護師などのメディカルスタッフが常駐していること。
② 冷却設備:緊急時に全身冷却(アイスバス等)ができる手段が準備されていること。
③ 運営変更:WBGT28〜31未満の対応を確実に実施し、選手の安全を最優先した特別な運営変更措置をとること。
2. 当日の運営ルール
3. 緊急事態(労作性熱中症)への対応
命に関わる最重症の「労作性熱射病」を最優先で除外・判断することとします。
Ø ただちに119番通報を行い、救急車を要請。
Ø 救急車が到着するまでの間、氷水の入ったプールに全身を浸す「氷水浴(CWI)」や、冷やしたタオルを全身に当てる「アイスタオル法」などを用いて、その場で即座に積極的な身体冷却を続けます。
その他の熱中症(熱失神、熱けいれん、熱疲労)であっても、涼しい場所への移動と水分補給を行い、症状が改善しない場合や自力で水分摂取ができない場合はすぐに119番通報を行ってください。
なお、熱中症を防ぐための対応として、2025年8月5日に発行した通達「熱中症リスクへの対応のお願い」に記載しているように、熱中症リスクを低減するための試合運営変更への柔軟な対応をお願いします。試合運営の具体的な変更に対して以下の2つの推奨事項を示すこととします。公式戦や練習試合等の試合の形式に関わらず、全てのカテゴリーの試合運営において、主催者、チームの合意のもとに、安全・安心を優先して柔軟な試合運営をすることを推奨します。選手・レフリー・スタッフ・観客の安全の重要性に配慮し、主催者・チームが自ら判断してください。
① 運営主催者、チーム等による熱中症対策の整備の推奨
l WBGT計の用意(含. 熱中症予防情報サイトの活用)
l 熱中症対応の体制整備 : WBGTの計測者/安全責任者の設置、SAの配置(大会/試合は必須)
l 熱中症予防と発生時のための冷却手段準備 (テント、アイスバス、氷、扇風機、AC付休憩室など)
② WBGT値による試合運営変更の推奨 (参照 : 別紙「WBGTによる熱中症予防」)
l 休憩時間の追加 (ハーフタイム延長、ウォーターブレイク追加/延長)
l 試合負荷の低減 (試合開始時間変更・試合時間短縮、選手交替制限緩和)
参考情報
・ラグビー外傷・障害対応マニュアル(2026年版) 11.内科的疾患2(熱中症):P52-56
・スポーツ庁 熱中症事故の防止について(依頼) 2026年4月28日
・文部科学省「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」について(令和6年4月更新)
・環境省 熱中症予防情報サイト (含. 暑さ指数メール配信サービス等の紹介)
スポーツ庁および日本スポーツ協会のホームページで、新型コロナウイルスウイルス感染症対策と合わせた熱中症対策が公開されています。
➢ 公益財団法人日本スポーツ協会:「スポーツ活動再開時の新型コロナウイルス感染症対策と熱中症予防について」
➢ 環境省熱中症予防情報サイトで、日本全国840 地点の暑さ指数(WBGT)の予測値が公開されています。 このサイトの中で紹介されていますが、WBGT の予測値を通知してくれるメールサービス「暑さ指数 メール配信サービス(無料)」を活用してください。